公認会計士はやめとけ?現役会計士が実情を解説【結論:目指すべき】
こんにちは、公認会計士のまるめがねです。
「公認会計士を目指そうかな」と調べていると、必ず目に入るのが「公認会計士はやめとけ」という言葉です。
難しすぎる、激務だ、AIに仕事を奪われる――。ネガティブな意見を見て、不安になった方も多いと思います。
この記事では、現役の公認会計士である私が、「やめとけ」と言われる代表的な理由を1つずつ検証します。本当のことは本当と認めたうえで、実際のところどうなのかを正直にお伝えします。
結論:やめないでいい、むしろ公認会計士を目指すべき
先に結論から言います。
「やめとけ」を理由に諦める必要はありません。むしろ、迷っているなら目指す価値のある資格です。
私自身、公認会計士になって後悔したことはありません。
ただし、この記事は「誰にでもおすすめ」という話ではありません。
- 「やめとけ」と言われる理由には、事実の部分もある
- 向いていない人、目指さないほうがいい人も確かにいる
この2つから目をそらさずに書きます。読み終わったときに、「自分は目指すべきかどうか」を自分で判断できる状態になってもらうのが、この記事のゴールです。
結論は「やめなくていい、むしろ目指す価値がある」。ただし「やめとけ」の理由には事実も含まれ、向いていない人もいる。この記事では両方を正直に検証する。
公認会計士やめとけと言われる理由①:試験が難しすぎる・勉強時間が長すぎる
「やめとけ」の理由として最もよく挙げられるのが、試験の難しさです。
これは、事実です。
- 合格率は例年7〜8%前後の狭き門
- 必要な勉強時間は3,000時間以上と言われ、多くの人が2〜4年かけて挑む
- 簿記や財務諸表など、数字と向き合い続ける耐性がない人には正直つらい
生半可な気持ちで受かる試験ではありません。ここをごまかすつもりはないです。
それでも「無理な試験」ではない理由
ただ、実際に合格した立場から言うと、この試験は「才能がないと受からない試験」ではありません。
- 受験資格がない:学歴・年齢・実務経験は一切不問。誰でも今日から挑戦できます
- 相対評価の試験:天才との勝負ではなく、同じ受験生の中で上位に入る勝負。やるべきことを積み上げた人から順に受かっていきます
- 頭の良さは必要条件ではない:問われるのは、地道な反復に耐えられるかどうか
「難しいからやめとけ」は、「時間をかけられないならやめとけ」と言い換えるのが正確だと思います。逆に言えば、時間を確保して継続できる人にとっては、努力が正当に報われる試験です。
そして、この難易度に見合うリターンがあるかどうかは、別記事で詳しく検証しています。
試験が難しいのは事実(合格率7〜8%・勉強時間3,000時間超)。ただし受験資格不問・相対評価で、才能より継続が効く試験。「難しいからやめとけ」ではなく「時間をかけられないならやめとけ」が正確。
公認会計士やめとけと言われる理由②:監査は激務・仕事がつまらない
次によく聞くのが、「監査法人は激務」「仕事が単調でつまらない」という声です。
これも、半分は事実です。
決算期(特に3月決算が集中する4〜5月)の監査法人は忙しいですし、若手のうちはExcelと向き合う単純作業の時間が長いのも本当です。
昔のイメージで語られていることが多い
ただ、「激務」のイメージは、ひと昔前の監査法人の話が混ざっています。
- 労働時間の管理が厳格になった:残業時間の上限規制が徹底され、「深夜まで働くのが当たり前」の文化は過去のものになりつつあります
- 四半期レビューの見直し:制度改正で四半期ごとの業務負担が減り、年間の忙しさの波もならされてきています
そして「つまらない」と言われがちな単純作業は、AIの台頭でむしろなくなっていく側の仕事です。残っていくのは、会計論点の検討やクライアントとのコミュニケーションといった、判断を伴う面白い部分。この点は、次の理由③とあわせて説明します。
繁忙期の忙しさと若手の単純作業は事実。ただし労働時間管理の厳格化や制度改正で監査法人は以前よりホワイトになっており、単純作業はAIで減っていく。「激務でつまらない」は昔のイメージが混ざっている。
公認会計士やめとけと言われる理由③:AIにとってかわられる
「AIで会計士の仕事はなくなる」――これも、よく言われます。
現場にいる立場から、正直に言います。
単純作業が置き換わるのは、実際にそのとおりです。
これまで監査法人のスタッフが担ってきたExcelでの集計・突合のような作業は、確実になくなっていきます。
それでも「仕事がなくなる」感覚はない
ただ、現場で働いていて「会計士の仕事自体がなくなる」という感覚はありません。理由は2つあります。
1つ目:単純作業が消えた分、スタッフも早い段階から論点検討やクライアントとのコミュニケーションといった本質的な業務に携わるようになります。仕事が奪われるというより、仕事の中身が面白い方向に入れ替わっていくイメージです。
2つ目:監査は「誰が意見を出すか」が大事な仕事です。財務諸表が適正だと意見表明し、その責任を負えるのは、資格を持った公認会計士だけ。AIがどれだけ計算を担っても、この「意見に責任を持つ」役割は代替できません。
むしろ、作業部分が自動化されるほど「責任を持って判断する人」の価値は際立つので、会計士の資格の価値はより一層高まっていくと私は見ています。
AIで単純作業が消えるのは事実。ただし監査は「誰が意見を出すか」の仕事であり、責任を負う役割はAIに代替できない。作業がなくなるほど、判断する会計士の価値はむしろ高まる。
公認会計士を目指さないほうがいい場合
ここまで「やめとけ」への反論を書いてきましたが、冒頭で書いたとおり、目指さないほうがいい人も確かにいます。私が正直にそう思うのは、次の2つのケースです。
既に社会人で、そこまで覚悟がない人
社会人受験は不可能ではありませんが、仕事と受験勉強の両立には並々ならぬ努力と器用さが必要です。
平日の夜と土日をほぼすべて勉強に充てる生活が、年単位で続きます。「なんとなく資格でも取ろうかな」という温度感で始めると、時間とお金だけを失って撤退することになりかねません。
社会人で目指すなら、「生活を作り変える覚悟があるか」を先に自問してみてください。覚悟が決まっている人には、社会人合格の道も十分あります。
会計分野以外で起業したい人
「起業の準備として、まず会計士の資格を取っておこう」という考え方には、私は賛成しません。
会計の知識は経営に役立ちますが、資格取得には数年単位の時間がかかります。やりたい事業が決まっているなら、その分野に直接飛び込んで経験を積むほうが、起業への近道です。会計の知識が必要になったら、その時に学べば十分間に合います。
覚悟が固まっていない社会人と、会計以外の分野で起業したい人には、正直おすすめしない。前者は生活を作り変える覚悟が先、後者はやりたい分野に直接飛び込むほうが近道。
逆に、公認会計士を目指したほうがいい人
一方で、「迷っているなら挑戦してみてほしい」と思うのは、こんな人です。
学生で興味を持っている人
これは断言しますが、公認会計士に学生のうちに合格しておくのは、本当にコスパがいいです。
- 社会人と違い、勉強時間を確保しやすい
- 在学中に合格すれば、新卒で監査法人に入り、20代のうちに年収も経験も積み上がる
- 仮に途中で撤退しても、就活で評価される会計知識が残る。失うものが少ない
学生で少しでも興味があるなら、挑戦する価値は十分あります。
勉強時間が確保できる人
社会人でも、時間を確保できる環境にある人なら話は別です。
公認会計士試験は、才能勝負ではなく時間の積み上げ勝負。まとまった時間を投下できる人にとっては、「何か一つ手に職をつけたい」という願いに対する、最も確実な答えの一つです。
出産後のキャリアが不安な女性
意外と知られていませんが、公認会計士は出産後のキャリア復帰の例が多い資格です。
私自身、監査法人で産休・育休を取り、その後復帰して時短で働いている方を何人も見てきました。資格があることで「休んでも戻れる場所がある」というのは、キャリアの大きな安心材料になります。
「目指してみようかな」と思った方は、予備校選びから始めることになります。現役会計士の視点で各校を比較した記事があるので、あわせてどうぞ。
学生・勉強時間を確保できる人・出産後のキャリアに安心がほしい人には、挑戦する価値が大きい。特に学生合格はコスパ抜群で、撤退しても失うものが少ない。
よくある質問(FAQ)
最後に、「やめとけ」と一緒に検索されがちな疑問に、まとめて答えておきます。
公認会計士は「食っていけない」って本当ですか?
いいえ。合格者が増えたとはいえ、監査は公認会計士にしかできない独占業務であり、需要はなくなりません。年収の実態はこちらの記事で私の実年収を公開しているので、そちらを見てもらうのが早いです。
受からずに撤退したら、何も残りませんか?
いいえ、ゼロにはなりません。途中で撤退した場合でも、短答式試験の合格実績や簿記の知識は、経理職への就職・転職で評価されます。ただし、かけた時間が戻らないのも事実なので、撤退リスクは正直に見込んでおくべきです。
今から目指すのは遅いですか?
遅くありません。受験資格がないので、大学3年からでも、社会人からでも始められます。大事なのは開始時期より「これから勉強時間を確保できるか」です。
学歴や数学の得意・不得意は関係ありますか?
受験資格に学歴は関係なく、合格者の出身大学もさまざまです。数学については、実際に使うのは四則演算が中心なので、「数学が得意」である必要はありません。ただし、数字を見続けることが苦にならない程度の耐性は必要です。
「食っていけない」は誤解(独占業務があり需要は堅い)。撤退しても短答合格や簿記の知識は残る。開始時期や学歴より「時間を確保できるか」がすべて。
まとめ
「公認会計士はやめとけ」と言われる理由を、現役会計士の視点で検証してきました。
- 試験が難しいのは事実。ただし才能ではなく継続が効く相対評価の試験
- 激務・つまらないは昔のイメージが混ざっている。単純作業はAIで減っていく
- AIに仕事は奪われない。「意見に責任を持つ」役割はむしろ価値が上がる
- 覚悟のない社会人・会計以外で起業したい人には、正直おすすめしない
- 学生・時間を確保できる人・出産後のキャリアに安心がほしい人は、挑戦する価値が大きい
「やめとけ」という言葉は、挑戦しなかった人の声であることも多いものです。この記事が、あなた自身の判断材料になればうれしいです。